クリスマスのしるし
日本福音ルーテル熊本教会
牧師 杉本洋一
「「今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」(ルカによる福音書 2章11~12節)
フランスではテロが起き、大勢の方が犠牲となりました。音楽を楽しんでいる時に、家族や友達、恋人と楽しく食事や語らいをしている時に、銃が乱射されたのです。そして、身をかがめた人は助かり、状況をつかめずに、ただ立ちすくんだ人は、その銃にうたれたのです。その悲惨さに、言葉を失います。
もうすぐクリスマスがやってきますが、ジングルベルのBGMが流れるスーパーで安心して買い物をすることができる状況が、なんと悲惨さとは対極にある状況でしょうか。同様に、同じ地球の中で、争いによって故郷を失い、家をなくし、布団も食べるパンを持たずに、愛する子どもや家族を失い、苦しみの生活を余儀なくされる人々がいるのは大きな不幸であり、矛盾であり、現実です。
この事実に、人間とは、なんと小さな存在であり、持てる力は小さく、争いには無力です。しかし、神は苦しむ者をただ眺めるだけではなく、一緒に生きて、励ましと希望と喜びを与えてくださる方です。
「神はわたしたちと共にいる」姿をもって、わたしたちに愛と励ましと希望を与えてくださる。それがイエス・キリストの誕生の姿です。身重になっている母マリアに同情しない宿屋の主人は、マリアを部屋に受け入れず、家畜小屋に追いやりました。貧しいマリアとヨセフが生まれたばかりの赤ちゃんイエスに着せたものは、ボロボロの布、おしめにする布です。そして不衛生な飼い葉桶の中に寝かせます。神であるイエスは、蔑まれ、同情されない、貧しい者として生まれ、育ちます。しかし、その姿と幼子の笑顔は、蔑まれて、貧しい中で生きる羊飼いたちにとっては、神が自分たちと共にいてくださることを知り、喜びとなったのではないでしょうか。
「あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」
乳飲み子は小さな存在です。しかし、この赤子が、平和のために生きられた方なのです
十字架につけられたこの方こそ救い主・メシアとなったのです。「愛すること」を、身を持って示した方がお生まれになるのです。