2013/08/13

熊本るうてる 8月号


「時がよくても悪くても」 (Ⅱテモテ4:2  杉本 洋一
 ちょうど一か月半前に小型ヨット・エオラス号で太平洋横断に挑戦し、出発後6日目に、浸水のために船体放棄を余儀なくさせられたニュースがありました。

 熊本ライトハウス出身で、この熊本教会の英語礼拝にもよく出席していた全盲の岩本光弘君です。ニュースキャスターの辛坊治郎さんと一緒に、救命ボートに移乗し、漂流すること11時間。その日の夕方6時過ぎ、海上自衛隊の果敢な救難活動により無事救助されました。

 私は、その後、彼がどうしているんだろうかと、いつも、気にかかっています。マスコミに叩かれましたから、相当な落胆を経験しているのではないかと思うからです。勇敢な自衛隊員によって支えられたことは報道されるべきだし、いのちを大事に思う人間ならだれも、助かってよかったのを一緒に喜ぶべきです。しかし、税金がどのくらい使われたとかの理由を付けられ、無謀な計画だと批判されるのは、行き過ぎていないだろうかと考えさせられます。

 私には、どんなスポンサーがついていたかとか、計画の裏舞台は知る由はありません。残念に思うのは、勇気を持ったチャレンジャーが、パッシングによって、潰されようとすることです。障がいを持っていても、健常者と同じようにやれるんだという不屈の精神によって新しい歴史と記録はいつも塗り替えられてきたと思います。

 もし、こんな時に、モード・パウラス先生だったらなんと声を書けただろうかと思います。あるいは、エリス先生ならなんと声をかけたでしょうか。そして、イエスさまだったら、なんと彼に声をかけただろうかと想像するのです。

 マスコミによって一斉に非難されたあの計画は、もう一度実行に移されることはないのでしょうか。あれは、社会を敵に回すほどの報道によって、無謀な太平洋横断の計画だったと決めつけられるのでしょうか。障がいを抱える人たちの代表としての岩本君による挑戦だったと私は思います。

 彼もルーテルの福祉の中で育てられ、み言葉にも触れた人間です。叩かれたことに負けないで、もう一度、チャレンジャーとして、やってみてほしいと思います。

(※辛抱さんは、司会者の職務復帰をされた記事を83日の新聞で見つけました)